ツーバイフォー住宅ってどんな住宅ですか?

FLAT HOUSE WORKs

先日MRT放送の朝の番組に少しだけ出演させていただきました。
2分という枠で、端折らなければならなかった思いを少しだけ追記して
テキストで起こしなおしました(^^)

MC 東日本大震災から9年防災について意識が高まる中、2×4住宅が注目されています。今日は2×4住宅の設計施工を160棟以上 手掛けられてきた(株)建図宮崎の住宅建築家 矢野さんにお越しただきました。おはようございます。

矢野 おはようございます。

MC 早速なんですが2×4住宅とはどういった住宅なんですか?

矢野 模型をご覧ください。これまでの日本の木造建築は 柱 や 梁 の大きさが注目されがちでしたが、
近年は 繰り返し起きる震災の経験から 地震の力は『壁』で受けた方が 有効である(木質モノコック構造)という考えが定着してきました。ツーバイフォー工法は 正式名称 『枠組み壁工法』と言われ、材料強度 や 寸法 まで 規格化されたJAS 木材を使って、壁だけでなく屋根面・床面まで一体化させ六面体構造をつくり 理論と施工規則で 確実に 地震に抵抗する住宅を造る点が大きな特徴です。

MC 2×4住宅が 耐震や防災に 特に優れている 具体的な例はありますか?

矢野 ツーバイフォー建築協会は過去の震災における被害状況を常に調査してきました。
その結果、住宅は 『命を守る』 と同時に、『被災後の生活再建』の重要性も問われるようになりました。
直近の熊本地震の調査では 被災したツーバイフォー住宅の、実に97%が 「被害なし」 または 「多少の被害」 程度で、「緊急な補修を必要としなかった」 という報告がなされています。

 実際に防災拠点として炊き出しなどで活躍した住宅の事例も報告されています。
1974年に日本で初めてツーバイフォー工法が導入され、これまでの震災の結果も同様だったことから、ツーバイフォー工法は繰り返す地震にも耐震性を確保していることが確認されました。

MC 耐震性以外に2×4住宅の特徴はありますか?

矢野 はい、木構造なのに 火災に 強い点が 挙げられます。
こちらは、2012年 宮崎市の一般的な仕様のツーバイフォー住宅の火災現場の写真です。

 2階 子供部屋から出火し、消火開始から45分後に鎮火した事案ですが、現場検証で 出火元 直下の リビングでさえ延焼被害はなく『半焼』という驚くべき 報告がされています。
 もちろんご家族は全員、無事に避難されました。これは壁で構造を区画するモノコックの特性と、使用される12ミリの石膏ボードで内装を仕上げる組み合わせが有効に働いた結果と言えます。 現在はより進化し、内装仕上げにより木造でも耐火建築が可能となりました。
 また、モノコック構造は気密性も向上する為 省エネルギー住宅を容易に施工できることや、厳格な共通した構造のルールが、30年後、誰が見ても安全を確保したリフォームがしやすいという利点を兼ね備えます。


MC なるほど!2×4住宅の良さは奥が深そうですね。

矢野 はい、日本では 大きな震災が発生する度に耐震基準の見直が図られてきました。それでも熊本地震では、新耐震基準を満たす住宅も含め多くの倒壊と被害者を出してしまいました。そんな中、2×4住宅をご採用頂いた多くのご家族が現在も、被災したご自宅で 安心してお暮し頂けていることは大変喜ばしく、また 大変誇らしく思います。

 結果が示す 「安心・安堵のデザイン」
住宅のデザインを耐震性という視点で見ていただきながら私達のホームページなどでご確認いただけると嬉しく思います。

MC 今日は、建図宮崎の矢野社長にお聞きしました。ありがとうございました。

■追記

『構造の安定が見えるデザインはいつまでも美しい』
建築の世界で語られる教えです。
次の世代に残す住宅を造ることを社是に掲げた 建図宮崎が 最も 大切にしてきた言葉です。

『建物が安全でなければ、日々の暮らしを楽しむゆとりは生まれない』
 住宅建築家として、すべてのご家族に届けたい思いです。

『木質ダイヤフラム理論』
1940年代、アメリカ政府が主導し、度重なるカリフォルニアの地震被害から一般木造住宅を守るため、大学や民間団体・など官民一体となって、実大実験など 検証を重ね構造用合板を利用した木質ダイヤフラム理論を構築し、全米住宅建築業協会がプラットフォーム工法として確立しました。これにより木造住宅でありながら工学的構造計算が可能となり、現在もこの理論が引き継がれています。1974年日本での導入にあたっては実大実験の結果やこれまでの実績など日本の建設省・学術経験者・民間なども参加し、且つ既存業圧迫にも配慮しより厳しく法律によって規制され世界でも最も厳しいと言われる建築基準法告示1540号の施行を持って導入されました。正式名称枠組み壁工法とされましたが、使用される主要木材の寸法が2インチ×4インチだったためツーバイフォー工法の呼称が浸透しました。当時、この新しい工法はルールが厳しく「2X4は面倒くさい。」「意匠設計ができない。」「2X4はリフォームできない」など敬遠されがちでしたが、結果的には、この厳格で明確な構造ルールがその後の大震災で多くの命を守り、家という個人の財産を守り、日本の木造建築を進歩に大きく貢献してきました。現在日本の大手木質系住宅メーカーのほとんどが木質ダイヤフラム理論で住宅を造っています。

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